「魔女の薬草箱」の第2~3章

西村佑子さんの「魔女の薬草箱」を読む:第2章・第3章

me 西村佑子さんの「魔女の薬草箱」 山と溪谷社 (2006/4/1) 
初めの目次読書第4章第1章→第2・第3章(このページ)

第2章 魔女と魔除け

 
第2章 魔女と魔除け  1 魔除け草 2 薬草を摘む曜日 

1 魔除け草


 お守り・護符
ドイツ語でアムレット、タリスマン
14世紀中ごろ ペスト(黒死病)が蔓延、人口が約3分の1に
十字架、 ルーン文字、 へクサグラム(六芒星)、 薬草入りの魔除けペンダント
人間や動物が舌を出して魔を脅かす飾り⇒※ゴルゴン

[ハナハッカとニガハッカ]

グリム兄弟の『ドイツ伝説集』
水の精のお産を助ける産婆の話⇒※二股人魚

「ドイツには、家庭を持ったり、肉を買いにに街へやってきたり、出産する人間的な水の精伝説が数多く残っている。皮膚は緑色で、いつも足元がぬれているのでわかるそうだ」(P58)

⇒メルジーヌ(※『教会の怪物たち』
ハナハッカ
学名:Origanum vulgare
科名:シソ科
産婆のお守り
オレガノ眠りを誘う成分を含む
ニガハッカ
学名:Marrubium vulgare
科名:シソ科
魔除け草は強い香りを持ったセリ科やシソ科に多い
香りが魔を避けると考えられた
「ヴァルプルギスの夜」:本来は冬の魔を払い春を迎える民間行事
北欧神話のオーディンの結婚式の日
古代ハルツ地方はゲルマン民族のテリトリーでキリスト教を受け入れるのが遅かった
地元の人々は、Walpurgis(ヴァルプルギス)の夜を今も愉しみ、4月30日にイベントが催される

[セイヨウカノコソウ]

学名:Valeriana officinalis
科名:オミナエシ科
ドイツ語でバルドリアン、英語でバレリアン
根が非常に臭い
鎮静催眠効果

[オトギリソウ]

学名:Hypericum perforatum 臭いのつよいもの、葉や花弁の数とか 根の形⇒魔除けの植物に
3枚葉は三位一体、4枚葉も十字架、5も古代から聖なるものとみなされた(ペンタグラム)
5枚葉のオトギリソウ
ドイツ語でヨハニスクラオト、英語でセントジョーンスズワート(ヨハネの草)
サロメに首を切られたヨハネ
漢字で弟切草・・『和漢三才図会』(1713)鷹匠が秘伝の薬草を使って鷹の傷を治すのをその弟が秘密を漏らしてしまったので、弟の首をはねた
オトギリソウの力が最大になるのは6月24日とされる;ヨハネの火祭り
薬草摘みにとって特に重要な日

[イラクサ]

Illustration Urtica dioica0.jpg
"Illustration Urtica dioica0". Licensed under Public Domain via Wikimedia Commons.

セイヨウイラクサ
学名:Urtica dioica
アンデルセンの『野の白鳥』呪いを解く草として使われている
11人の兄と妹のエリサ
グリム兄弟『六羽の白鳥』ハクチョウにされた6人の兄たちの呪いを解くために、妹は「シュtルンブルーメ(星の花)という花でシャツを編む。翻訳ではこれをユウゼンギクとしているものが多い。「イラクサほどには呪いを解く力強さは感じられない。アンデルセンの勝ち」(p71)

[ハシバミ]

Illustration Corylus avellana0.jpg
"Illustration Corylus avellana0". Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.

セイヨウハシバミ
学名:Corylus Avellana
科名:カバノキ科
グリム童話 灰かぶり(シンデレラ)・・父からお土産は何がいいかと聞かれて、帰り道で最初に帽子にあたった木の枝が欲しいと言って、すぉのハシバミの枝を母の墓に植える。 するとこの機に小鳥が来て灰かぶりに靴やドレスを運んできてくれる。(ディズニーアニメと違って、妖精は出てこない)  
財産譲渡のしるしに枝を渡すという法律が中世にあった:ゲルマン民族最古の法典(サリカ法典(510年頃)※Wikipedia・・灰かぶりはしっかり者であった・・
ハシバミの枝は水脈や地下資源を見つける占い棒でもあった

[ヤドリギ]

セイヨウヤドリギ
学名:Viscum album
不思議な植物。神秘的
ケルト民族のドルイド僧が行う儀式に重要な役割

もともとは独立した木であったが、キリストを磔にした十字架に使われ、そのことを恥じて身を縮めているうちに独り立ちできずに寄生規制するようになったという伝説がある(p76)

第2章  2 薬草を摘む曜日 

バイエルンの侍医ヨーハン・ハルトリープ ※
『禁じられた技、迷信、魔法全書』(1456年)
魔女の軟膏を作るために決まった曜日に薬草を摘む人がいる
en.wikipediaJohannes Hartlieb(c. 1410 –1468):the oldest known description of witches' flying ointment.
日曜日: キクニガナ(Cichorium intybus チコリ)ドイツ語でヴェークヴァルテ(路傍で待つ)‥来ぬ恋人を待つ乙女が身を変えたという伝説 ほとんどの薬草が異教の行事と関連付けられるのは当然
月 ヒメハナワラビ(Botrychium lunaria )ドイツ語でモーントラウテ、英語でムーンワート 魔除け草は、身につけたり戸口につるして用いた ※
火 クマツヅラ(Verbena officinalis)古代では祭壇に飾る花として珍重された 古代エジプトで「イシスの涙」ドイツ語で「鉄の草」(鉄剣による傷の治療)
水 セイヨウヤマアイ(Mercurialis perennnisトウダイグサ科) ドイツ語でビンゲルクラオト はっきりしないが利尿効果による名前な
木 ヤバネダイソウ(Sempervovum tectorum) ベンケイソウ科 ドイツ語で屋根の草(ハウスヴルツ 落雷や火災避除けと信じられた
金 シダ (オシダDrypteris filix-mas)ふしぎな植物 絶大な力を持つとされ、人びとは6月24日にシダの胞子集めに奔走した
土 (ユダヤ教の安息日)
※『英米文学植物民俗誌』(加藤憲一著)に色々な言い伝えが紹介されている
『牧野日本植物図鑑』扇のようと説明、絶滅危惧種

Dryopteris filix-mas4 ies crop.jpg
"Dryopteris filix-mas4 ies crop" by Dryopteris_filix-mas4_ies.jpg: Frank Vincentz derivative work: G.Hagedorn (talk) - Dryopteris_filix-mas4_ies.jpg. Licensed under CC 表示-継承 3.0 via ウィキメディア・コモンズ.

オシダ科

第3章  魔法の薬草  1 薬草の魔力  2 媚薬

第3章 魔法の薬草
 1 薬草の魔力 

魔法: 英語でマジック、ドイツ語でツァオバー

[マンドラゴラ]

学名:Mandragora officinarum=M.vernalis

科名:ナス科
英語でマンドレーク
ドイツ語で、古代ゲルマンの預言者アルルナに由来して、アルラウン、アルラウネ

伝説ではマンドラゴラには雄と雌がある。


16世紀頃の絵(p95) ドイツ博物館(Deutsches Museum
聖書「創世記」の「恋なすび」(独逸語で「愛のリンゴ」英語でマンドレークヘブライ語でドルダイム、ギリシア語でマンドラゴラス) 
エジプトでは3代媚薬の一つで、ツタンカーメン(紀元前14世紀)の王の壁画は小箱に描かれている:マンドラゴラの栽培や採取におびえているようすはない
⇒伝説はまだ生まれていなかった
西村さんのブログに著書で引用の写真あり

Mandragora Tacuinum Sanitatis.jpg
"Mandragora Tacuinum Sanitatis

『健康全書』 (Tacuinum Sanitatis) に描かれたマンドラゴラ (1474)
Ernte eines Alrauns (Medicina antiqua)
Ernte eines Alrauns (Medicina antiqua)

第3章 魔法の薬草
2 媚薬

[相思相愛の薬:トリスタンとイゾルデ]

中世ドイツの詩人ゴットフリート・フォン・シュトラースブルク『トリスタンとイゾルデ』( 1205)もともとケルト人によって語られてきたもの
ビアズリー イゾルデ (1895)

Aubrey Beardsley Beardsley - Isolde.jpg
"Aubrey Beardsley Beardsley - Isolde" by Aubrey Beardsley - This image is available from the United States Library of Congress's Prints and Photographs division under the digital ID cph.3g09710. This tag does not indicate the copyright status of the attached work. A normal copyright tag is still required. See Commons:Licensing for more information. العربية | čeština | Deutsch | English | español | فارسی | suomi | français | magyar | italiano | македонски | മലയാളം | Nederlands | polski | português | русский | slovenčina | slovenščina | Türkçe | українська | 中文 | 中文(简体)‎ | 中文(繁體)‎ | +/−. Licensed under Public Domain via Wikimedia Commons.

[恋をつなぎとめる薬:ドイツ伝説集]

ドイツでは16世紀から17世紀に魔女狩りの嵐が吹き荒れた。拷問。誰によって魔女にされたか。魔女は悪魔に魂を私ので軽いはずだと言われていた。魔女裁判の秤:オーデワーター(オランダ)魔女裁判博物館の展示

[惚れ薬・真夏の夜の夢]

シェイクスピア(1564-1616)

サンシキスミレ

学名:Viora tricolor
ラブ・イン・アイドルネス(福田恒存訳「浮気草」)
英語で園芸品種「パンジー」 野生種[ハートシ―ズ]
ヒルデガルト・フォン・ビンゲンによると、目のかすみに有効(第4章)
『毒の歴史』(ジャン・ド・マレッシ著)9世紀にアラビアで発明されたという解毒剤
シクラメン、メボウキ、チコリ、ヒマ、ネナシカズラ。レモン、ヒヨス、イラクサ、レタス、アヘン、アカシア、バラモンジン、赤いバラ、シナモン、ショウガ、外観が苔に似た地衣wpすりつぶしてみるくと一緒に発行させ底地はちみつを加えて煮て、ぶどう酒をかけて煮詰め、冷やす

[若返りの薬・ファウスト]

ゲーテのライスワーク『ファウスト』(1831年完成)

ファウストの舞台となったライプツィヒ には、「魔女のドリンク」(Hexentrunk),を飲ませてくれるテストランがある
「ヘクセンキュッヒェ(魔女の厨) という名前のレストランを時々みかける(p121)

⇒魔女の厨房で魔女の飲物を飲むファウストアウエルバッハスケラー店内の壁画(p119):西村さんのブログに写真あり http://tabi.chunichi.co.jp/blog/majyo/2015/01/003289.html

[愛の魔法]

セージ

学名:Salvia officinalis
セージの葉の1枚目に「アダムとイブ」と書く、2枚目に自分の名前を書く、3枚目に相手の名前を書く、この3枚の葉を燃やして粉にして相手の食べ物に入れる(p122)

コリアンダー

学名:Coriandrum sativum
科名:セリ科
和名:コエンドロ(ポルトガル語に由来)
軽い麻酔作用がある
『魔女のレシピ』(テアという現代のドイツ人女性著) ・・ コリアンダーの実7個をすりつぶし「温かい実、温かい心、ずっと仲良くしてね」と3回唱える、それを1リットルの白ワインに入れてかき混ぜて10分したら好きな人にのませる・・
me 西村佑子さんの「魔女の薬草箱」  を読
第1章 魔女と薬草第2章  魔女と魔除け
第3章 魔法の薬草第4章 「賢い女」の薬草

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