生物学のおさらい:葉の形

植物が多様な葉をもつ意味について

問い:植物が多様な葉をもつ意味について述べよ。me 

植物の体
1.栄養器官
・・・根、茎、
2.繁殖器官
・・・花

維管束植物
1.根系
2.シュート系 

「葉」Wikipedia(20150612)

葉のシゴト

光合成

薄く広くできているのは、太陽の光を効率よく吸収し、ガス交換することができるための適応.

単子葉植物では、細長い葉の形のものが多い。特にイネ科の植物は、やや硬く、立ち上がった細長い葉をもつものが多く、草原での生活に適応しているといわれる。光が根本まで入りやすく、植物体全体で光合成ができる形である。

特殊な構造

葉を変形させて、様々な用途に対応する

植物が葉を変形させて、様々な用途に対応することは、色々な場合に見られる。特に、ほとんど全ての植物に共通するのは、生殖への対応である。種子植物の属する系統では、胞子は葉の上に生じるため、それに絡む様々な葉の変形が見られる。花や、その要素である花びら、雄しべ、雌しべも葉の変形であり、従って、果実も葉に由来するものと考えられる。

環境との接点

植物にとって、葉は環境との重要な接点であり、また、一番弱い部分でもある。そのため、生育環境などによって、様々な形の葉があり、一見して葉と思えない場合もある。

乾燥対策

乾燥に対しては、葉は弱い部分でもあり、様々な適応を見せる。
普通、分厚く、小さくなったり、あるいは葉に水をためる仕組みを発達させるものが多い。特に、乾燥地に生育して、そのような葉や茎に水を蓄える植物を多肉植物という。特に葉の適応として特殊なのは、サボテンなどに見るように、葉を同化器官として使わなくなり、棘にしてしまったものがある。
多肉葉 葉針

捕虫葉

食虫植物では、葉が様々な形に変形し、昆虫を捕らえ、消化吸収する仕組みを発達させている。特に、ウツボカズラのように袋となったもの、ハエトリソウのように罠になったものは目立った形をしている。
つる植物では、木に登り、体を支えるための構造として、巻きひげやひっかかるための鈎を発達させるものがあるが、葉を変形させてそのような部分にしている場合もある。

ヨシの葉鞘

Riet ligula Phragmites australis.jpg
"Riet ligula Phragmites australis" by Rasbak - 投稿者自身による作品. Licensed under CC 表示-継承 3.0 via ウィキメディア・コモンズ.

葉の基部は茎に巻き付いていて、茎に見えるもの(ツユクサ、ヨシなど)

ネギの単面葉

Scallion.jpg
"Scallion". Licensed under GFDL via Wikipedia.

葉身が普通の葉(両面葉)の裏側に相当する組織しかもたない葉(ネギ、アヤメなど、一部の単子葉植物がもつ)

葉の起源

テローム説:維管束植物の形態の進化を説明するための説
テローム=二又に分かれた枝先(チンメルマン1930)

1917-1920年にかけて、スコットランドのライニー地方から多数のデボン紀の陸上植物化石が発見され(ライニー植物群)、ごく初期の陸上植物についての知見が一気に増加した。その結果、初期の陸上植物にはリニアのように葉が全くなく、中心に維管束を持つ二又分枝をした枝だけからなるものがあることが分かった。(Wikipedia20150612)

2 「植物は形で勝負する」

 

植物形態学 

http://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/keitai/4-3.html

植物は形で勝負する -光資源獲得のための形-
by竹中明夫(国立環境研究所 )
植物の生き方にも多くの合理性を見出すことができる。植物においても動物においても、長い進化の歴史のなかで生存と繁殖により適した生き方が選択されてきたことに違いはない。
http://takenaka-akio.org//repro/kagaku/katachi1.html

葉の向きをかえて日当たりを調節 ・・葉同士が日陰になるのを避けながら個体全体の受光面を大きくする 葉同士が日陰になりすぎないような適当な葉の量と並べかたがある

3「表現型可塑性」

 

発生生物学 Developmental biology

http://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/keitai/4-3.html

表現型可塑性とは、 環境要因に応じて生物が持つ形質(表現型)が変化すること
生物個体がその表現型を環境条件に応じて変化させる能力のこと

この言葉は同じ遺伝子型でも表現型が異なる場合を指す。Wikipedia

一般的に、表現型可塑性は移動力のある動物よりも、植物など移動できない生物においてより重要である。なぜなら、動けない生物はその環境に順応できなければ死ぬしかないが、動けるなら不利な環境を離れることができるからである 。
多くの植物が、水や塩分、栄養等の環境条件に応じて表現型を変化させる能力を持つ
たとえば栄養の乏しい土壌では根により多くの資源を配分し、葉の大きさと厚さを変えることなどがある。根における輸送タンパク質の量も、土壌の栄養と塩分によって変化することが知られている。
Mesembryanthemum crystallinumなど、水分や塩分のストレスにさらされると、使う水の少ない光合成経路を使うようになる植物もいる。
水草のウキシバは、水位が低くなると斜め上に伸びる「抽水型」として生育するが、水位が高くなると水面に浮きながら匍匐して成長する「浮葉型」として生育する

園芸において、植木鉢のサイズを抑えて、植物のサイズを抑えるという手法は古くから行われている(顕著な例:盆栽・・その植物の、野外で見られる大木の姿を、鉢の上に縮小して再現することを目指す)


「適応的な表現型可塑性』:環境条件の応じて適応的に形質を改変する重要な形質
=進化可能性(evolbability)
適応的な表現型可塑性の中で、環境に応じて表現型が不連続に変化する場合:
例 チョウの季節型、昆虫類の翅多型、社会性昆虫のカースト、捕食誘導 表現型多系(polyphenism)

植物が多様な葉をもつ意味について

問い:植物が多様な葉をもつ意味について述べよ。me 

回答 1:植物が葉を変形させて、様々な用途に対応する ことは、色々な場合に見られる。
植物は動けないので動物より環境要因に応じ た表現型可塑性が大きい。葉の仕事で重要な のはエネルギーの獲得で、光合成で太陽の光 を効率よく吸収しガス交換できるように、ま た虫をとらえるためにも、大きさや厚さだけ でなく形を変える。さらに、生殖への対応と しても形を変えたので、多様な形を持つ。葉 は植物と環境との接点であり、水、塩分、栄 養等の環境条件と用途に応じて表現型(形) を合理的に変化させるのである。

回答 2: 植物は固着生物なので、環境に対して柔軟に 適応する能力が進化の過程で発達した。中で も植物の生活を支えている光合成に関しては 環境適応が必須のため、光合成器関である葉 の発生は、外界の環境に適応して実に大きな 可塑性を発揮する。その配置、形、大きさや 内部構造は重要であり、葉の形態は、水分の 損失、ガス交換、光合成産物の輸送のバラン スを取る機能と密接に関係しているため、環 境に応じて多様な形を取るのである。

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