園芸の基本 (5)
用土・土壌改良材
土の定義
土 |
自然界で岩石などの母材
が風化したもの |
地面の赤土など |
土壌 |
土に動植物由来の有機物が混ざって植物が正常に育つもの |
堆肥などを加えた畑の赤土など |
用土 |
土壌を加工したもの |
植物の栽培に適するようにつくられた培養度など |
植物の栽培に適した土壌
十分な根が張れること
透水性、通気性がよいこと
保水性、保肥力があること
適正なpHであること
適正なECであること(※
Electric Conductivity)
異物の混入がなく、清潔であること
鉢土は適当な重さであること
有機物を多く含むこと
土壌の性質と改良方法
物理的性質
(水持ちや空気の通りに関する性質)
単粒構造の土 |
× |
微細な粒の土の集合体 |
団粒構造の土 |
○ |
短粒が電気的に結びついたり、有用な雑菌などの効果によって結びついた塊の集合体 |
土壌の三相分布
水やりや乾燥によって変化する
固相 |
(土壌粒) |
湿潤と乾燥を繰り返すことによって土壌粒が崩れて細かくなる。
それによって気相と液相部分(孔隙)がへって、植物にとって栽培環境が悪化する |
液相 |
(土壌水) |
気相 |
(土壌空気) |
物理性の改善方法
よく耕す(耕すことによって単粒構造が壊れる)
土壌改良剤を混和する(たい肥や腐葉土を混合すると孔隙ができ、更に微生物や小動物の餌となるため、土壌の団粒構造が促進される)
(透水性の悪い土壌の改良には黒曜石系パーライトを混合する)
((地面に勾配をつける、畝を立てて高くする、
溝を掘って植え付けた地面と排水面との高低差をつける、という改善方法もあるが、抜本的な解決にはならない))
化学的性質
(保肥性、土壌の酸性度、リン酸吸収係数など養分に関すること)
塩基置換容量
(CEC Cation Exchange Capacity) |
陽イオンが吸着される能力
乾土100グラムに対するミリグラム当量 |
数値が大きいほど保肥力に優れる |
土壌の酸性度
(pH ペーハー 1~14) |
中性が7
それより小さな値が酸性 |
一般的な植物はpH5.5~6.5の弱酸性~中性でよく生育する
アルカリ性に傾くと土壌中のアンモニアがガス化して窒素分が失われ、生理障害が起きることがある |
リン酸吸収係数(リン酸の固定) |
リン酸は他の元素と欠どうしやすい肥料成分
リン酸が
土壌中の鉄やアルミニウムと結合して不溶化し、植物が吸収・利用できなくなること |
赤玉土や黒土など火山灰土で大きい(利用率5~15%になってしまう) |
電気伝導度
(EC Electric Conductivity) |
土壌中に含まれている肥料分の目安となる数値
土壌水の中に溶けている物質(イオン化状態)が多いほど電気が流れやすい |
一般的には0.4~0.8mS/cm程度がよいとされる
(0.4~0.8 ミリジーメンス・パー・センチメートル) |
化学性の改善方法
保非力の改善は、塩基置換容量の大きい改良剤のゼオライト、バーミキュライトまたは黒土や赤土などを混合するか、混合すると土となじんで腐植や腐植酸などに変化する腐葉土や堆肥を加える。
日本の土壌は酸性よりが多く、更に施肥(硫黄成分を含む種類が多い)や降雨(カルシウム成分が流亡する)によって酸性度が徐々に強くなる
一般には賛成を弱酸性に修正する必要があり、省石灰や苦土石灰などを使用する
表:園芸植物の好適酸性度
用土の種類
天然用土 |
赤土(赤玉土) |
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黒土(黒ボク土) |
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荒木田土(田土) |
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真砂(まさ)土 |
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鹿沼土 |
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川砂(朝明川砂、矢作川砂、天神川砂、白川砂など) |
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山砂(ボラ土、桐生砂、富士砂、浅間砂、日向砂など) |
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植物性用土 |
腐葉土 |
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ピートモス |
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ミズゴケ |
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山ゴケ |
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バーク |
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化土(ケト土) |
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くん炭 |
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人工用土 |
バーミキュライト |
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パーライト |
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発泡煉石 |
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ロックウール |
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培養土 |
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土壌改良材とは
土壌改良材の種類
動植物質 |
堆肥類 |
バーク堆肥(林産残渣) |
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家畜糞堆肥(畜産廃棄物) |
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その他の堆肥 |
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ピート類 |
バーク堆肥(林産残渣) |
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その他の動植物物質 |
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鉱物質資材 |
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微生物資材 |
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合成化合物 |
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腐葉土の作り方
カシ、ケヤキ、クヌギなど葉脈の硬い落葉性広葉樹の落ち葉が原料
針葉樹やイチョウも使えるが、分解が遅くなる
添加材料には、米ぬか、発酵促進剤や土を使う
落ち葉を積み込む場所は堆積物が1m2程度に広げられる場所
落ち葉を積み上げて平らにしよくう踏み込む(10~20cmの厚さ)
水をかけて湿らせる
上に全体が白くなるまで米ぬかをまく
米ぬかが隠れるように土をかける(以上、1段の堆積)
以上の繰り返しで高さ1m程度に積み上げる
ビニールシートをかける
2カ月に一度切り返しをする
(堆積した山を崩して、腐熟した部分としていない部分を混ぜ合わせる)
改めて積み上げ、水を加える
春に、色が黒く、やっと落ち葉であるとわかるくらい細かくなれば完成
乾かして保存する
肥料
植物体の組成と栄養成分
90%が水
その他の乾物重量の40~50%(全体の4~5%)が炭素(C)
植物体を構成する元素のうちC,H,Oを除いた植物の代謝に必須の元素Hは、N,P,K,Ca,Mg,S(硫黄)
微量に要求される元素に、Fe,Mn,B,Zn,Cu,Mo,Cl
肥料の定義
肥料取締法での定義:肥料とは、植物の栄養に供することまたは植物の栽培に資するために、土壌に化学的変化をもららすことを目的として植物に施されるものをいう
肥料要素の分類
大量要素 |
チッ素(N) |
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リン酸(P2O5) |
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カリ(K2O) |
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中量要素 |
カルシウム(Ca) |
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マグネシウム(Mg) |
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イオウ(S) |
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微量要素 |
鉄(Ca) |
葉緑体の生成に関与 |
マンガン(Mg) |
光合成に関与 |
銅(Cu) |
酸化還元に関与、たんぱく質代謝に関与 |
亜鉛(Zn) |
酵素反応、細胞壁の保護に関与 |
モリブデン(Mo) |
チッソ代謝に関与 |
ホウ素(B) |
開花、着花、種子形成に関与 |
塩素(Cl) |
光合成に関与 |
植物の養分吸収
通常根から養分を吸収するが、要面からも吸収することができる。要面球は粗鋼性があるので弱った植物の回復に有効である
根部吸収
土壌水に溶解したイオン状態で吸収
pH、地温、通気性、拮抗作用(イオンバランス)によって影響される。
光合成が盛んになると→根の活動も高まり→養分吸収量増加
葉面吸収
葉面の気孔から養分や気体の窒素酸化物を 吸収できる
根から吸収できない状態や欠乏症を生じ速攻的に効かせたい場合有効
表面より裏面からの吸収量が多い
肥料の分類
原料の種類による分類 |
有機質肥料 |
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無機質肥料 |
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含まれる成分による分類 |
単肥 |
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複合肥料 |
配合肥料 |
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化成肥料 |
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液状複合肥料 |
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被覆複合肥料 |
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肥料成分比率による分類 |
肥料の三要素のバランス |
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肥効速度による分類 |
速効性肥料 |
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遅効性肥料 |
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緩効性化成肥料 |
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施肥方法
肥料の保証票
保証票の種類
生産業者保証票、輸入業者保証票、
販売業者保証票
指定配合肥料、登録外国生産肥料
「家庭園芸専用」とした場合、定められた記載項目より、窒素成分を保障した原料の種類、高価発言促進剤(微量要素)の種類や含有量、
着色剤や組成均一化促進剤などの種類や含有量の記載が免除される。
反面、10㎏以上の容量が認められない
記載項目の見方
「全量」表示
登録番号 |
|
肥料の種類と肥料の名称 |
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保証成分量 |
「全量」表示 |
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水溶性、可溶性、く溶性 |
|
生産した年月、販売業者保証票を付した年月 |
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切花鮮度保持剤、活力剤
肥料の選び方、使い方、保管方法
病害虫と家庭園芸農薬
病害虫・雑草の種類
病気の種類
病原菌の種類 |
ウイルス |
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ウイロイド |
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ファイトプラズマ |
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細菌・放射菌 |
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糸状菌 |
俗に「カビ」と呼ばれる
家庭園芸で問題になる植物の多くはこれによっておこる |
病原菌以外の要因 |
ダニ、センチュウ等の害虫が原因 |
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気象的要因が原因 |
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化学的要因が原因 |
|
土壌・肥料要因が原因 |
|
害虫・害獣の種類
農業害虫の種類 |
食害性害虫 |
|
吸汁性害虫 |
|
害獣・害鳥 |
|
不快害虫 |
(存在が不快)
|
衛生害虫 |
雑草の種類 |
生活型による分類 |
一年生雑草 |
多年生雑草 |
形態による分類 |
広葉雑草 |
イネ科雑草 |
病害虫の発生要因と防除の基本
病害虫の発生要因
病気の発生原因
病原菌の好む植物、病原菌、病原菌の繁殖に適した環境
害虫の発生原因
総合的病害虫防除・雑草防除
耕種的防除法 |
健全な苗や種子を選ぶ |
|
肥培管理に気をつける |
|
栽培環境にも気をつける |
|
発生源を取り除く |
|
除草にも努める |
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生物的防除法 |
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物理的防除法 |
最後の決め手は農薬 |
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化学的防除法 |
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家庭園芸農薬の種類
農薬とは
農薬の登録制度
効果試験、毒性試験、代謝試験、残留試験、環境に対する影響試験
使用目的による分類と作用機構 |
殺虫剤
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殺菌剤 |
|
殺虫殺菌剤 |
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除草剤 |
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植物成長調整剤 |
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その他 |
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使用方法(剤型)による分類 |
そのまま使用する剤型
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エアゾル型 |
ハンドスプレー型 |
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粉剤 |
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粒剤 |
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ペレット剤 |
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水に希釈して使用する剤型
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乳剤・液剤 |
水和剤・水溶剤 |
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フロワブル剤・ゾル剤 |
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ラベルの見方・読み方
登録番号の確認
適用病害虫と使用方法
効果薬害などの注意
安全使用上の注意
適用病害虫と使用方法
使用目的による分類と作用機構 |
作物名
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適用病害虫名 |
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希釈倍数(使用量) |
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使用時期 |
|
使用回数 |
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使用方法 |
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薬剤の選び方
農薬を使用するうえでの注意点
農薬以外の薬剤、防除資材 |
不快害虫用殺虫剤 |
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非農耕地用除草剤 |
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忌避剤 |
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資材類 |
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