植物生理
内容は、光合成、呼吸、水の蒸散と吸収、植物の生活環境、花芽分化・開花と環境・・・
※『
最新 植物生理化学 』(2011.10刊)
植物は生育環境の変化を鋭敏に感応し,植物特有の生物機能(知恵)を駆使してその生命の維持や種の繁栄を図っている。本書は,化学的手法によって得られた知見を核とし,植物が具備する生物機能のメカニズムを解説する。
光合成(炭酸同化作用)
二酸化炭素 + 水 → 植物の成長 + 酸素
- 6 CO2 + 6 H2O → C6H12O6 + 6 O2
水と太陽エネルギーと二酸化炭素が反応し、ブドウ糖を合成し酸素を発生する
光合成の反応式@某社大学受験テキスト
6 CO2 + 12 H2O + 688kcal → C6H12O6 + 6 O2+ 6 H2O
CAM植物の光合成
(Crassulacean Acid Metabolism lisn:
ベンケイソウ型代謝)
ベンケイソウ科Crassulaceae・・CAM型光合成(
Crassulacean
Acid
Metabolism)という名称は、最初にこの科の植物からこの代謝経路が発見されたことにちなむ。
C4植物の光合成 |
空間的 |
葉肉で 一次CO2固定
維管束鞘で
糖やデンプンの合成 |
|
CAM植物の光合成 |
時間的 |
夜 一次CO2固定
昼
糖やデンプンの合成 |
日中は気孔を閉じて水分を保ち、夜間にCO
2を取り込んで光合成をおこなう。
ベンケイソウ科、サボテン科、パイナップル科、ラン科などで見られる。
WikipediaCAM型光合成
1日当たりの光合成速度が大きく制約され、成長も遅くなる。
CAM経路はCO2を濃縮するための経路
Wikipedia CAM型光合成
砂漠などの多肉植物や、同様に水分ストレスの大きな環境に生息する着生植物に多く見られる光合成の一形態
これを行なう植物をCAM植物と呼ぶ。この方法の特徴として、CO2の取り込みを夜に行い、昼に還元することが挙げられる。
CAM植物の例 、
サボテン科 (Cactaceae)
ベンケイソウ科 (Crassulaceae)
トウダイグサ科 (Euphorbiaceae)
光合成の要因
光飽和
光合成の速度は光の強さにほぼ正比例している。
速度の飽和を光飽和という
光合成の限定要因
光の強さ、CO2濃度、温度の3つの要素に影響を受ける
光合成をおこなうためには葉が健全で気孔が開かないといけない。乾燥すると水の蒸散を防止するために気孔が閉じる
光合成の効率を高めるために水は重要
陽生植物:光飽和の状態に強い光を必要とする
農産物の大部分、リンゴやイネは真昼の太陽光の3分の1以上
陰生植物:光飽和の状態に弱い光で足りる
観葉植物など、真昼の太陽鉱の10分の1で足りる
※陽性でなく陽生
陽葉と陰葉
陽生植物でも弱光下に置かれると陰葉をつける
陰葉:柵状組織や海綿状組織の発達が悪い
薄く 幅が広い
緑色が濃く、光を吸収する色素を多く含む
光合成についての補足
炭素同化作用の違い
維管束鞘の違い
C3植物 |
生成物
3-ホスホグリセリン酸 (C3) |
光飽和が明確(必要とする光の量を超えると光合成量が増加しなくなる) |
主に葉肉細胞に葉緑体をもつ |
C4植物 |
トウモロコシ
コウライシバ
バミューダ―グラス
雑草のメヒシバ
オヒシバ |
強光高温時も効率よく光合成を行う
C4ジカルボン酸経路(CO2をC3回路に行く前に蓄えておく装置)をもつ
日中に気孔から葉肉細胞に取り込まれたCO2 |
葉肉細胞と維管束鞘細胞の両方に葉緑体をもつ |
※酸素(oxygen)と二酸化炭素(carbon dioxide)の名付け親は仏の
ラヴォアジエ(18世紀後半)「酸素の発見者」「近代化学の父」
続きはこちら
※「光合成」という名称を初めて使ったのはアメリカの植物学者チャールズ・バーネス(19世紀末)
Wikipedia:
光合成 photosynthesis
光合成は、主に植物や植物プランクトン、藻類など光合成色素をもつ生物が行う、
光エネルギー を化学エネルギーに変換する生化学反応
光合成生物は光エネルギーを使って水と空気中の二酸化炭素から炭水化物(糖類:例えばショ糖やグルコースやデンプン)を合成している。また、光合成は水を分解する過程で生じた酸素を大気中に供給している。
年間に地球上で固定される二酸化炭素は約1014kg、貯蔵されるエネルギーは1018kJと見積もられている 。
かつては
炭酸同化作用(たんさんどうかさよう)とも言ったが現在はあまり使われない。
カルビン回路および光化学反応の収支式をまとめると以下の反応式(好気呼吸の収支式の逆反応)
- 6 CO2 + 12 H2O → C6H12O6 + 6 H2O + 6 O2
Wikipedia:
カルビン回路 C
3回路
光合成反応における代表的な炭酸固定反応
光化学反応(photochemical reaction, light‐dependent reaction)は、物質が光を吸収して化学反応を起こす現象
光合成における光化学反応では、特定のクロロフィル分子がこの反応を起こし、還元物質NADPHやATPの合成の源となる。
酸素発生型光合成では光化学反応により水を電子供与体として用い、酸素を発生し(=水の光分解)、炭酸ガスを還元する。
別名、明反応(めいはんのう)
光合成は光化学反応とカルビン回路の2つの段階に大別される。
光化学反応は光エネルギーからNADPHとATPを合成する過程で、カルビン回路はNADPHとATPを使ってCO2とH2Oから糖を合成する過程である。
Wikipedia
クロロフィル chlorophyll 光合成の明反応で光エネルギーを吸収する役割をもつ化学物質(葉緑素)(光合成色素)
還元物質NADPHやATPの合成の源となる
ベンソンの実験:光合成ではます光を必要とするが、 CO2必要としない反応が起こり、次に光を必要としないが CO2を必要とする反応がおこる
呼吸
光合成で得られた糖類を燃焼してエネルギーを得るために行う
貯蔵炭水化物を分解し、ブドウ糖や果糖に変化した後に呼吸に使う
影響する環境条件
1.土壌中の酸素不足
空中の酸素不足(含有率10%で急速に減少)
2.温度が上昇すると呼吸量が増加するが、間もなく減少に移る
(呼吸に使われる物質の分解などの反応速度の上昇、酵素不活性化の速度上昇)
初期呼吸:呼吸量が増加して減少に移るまで
呼吸最適温度:初期呼吸が最も大きくなるところ
呼吸作用の最低温度から最適温度の間で呼吸作用は10○C高くなるとと2倍近くなる
呼吸作用による物質の消耗を防ぐために、貯蔵や保存に低温庫が利用される
発育と呼吸
地下に貯蔵器官をもつ作物は、
土壌空気中の酸素濃度を高め、二酸化炭素濃度を減少させるとよい
地下部で糖をデンプンに変えるときは多くのエネルギーを必要とし、呼吸を盛んにする条件が必要なため
水の蒸散と吸収
水の蒸散は植物に対し冷却効果をもつ(体温調整)
1gの水が蒸散によってうしなわれると、約539 Kcal の熱が奪われ、葉温が低下する
気孔
主として葉身の表皮にあって空気や水蒸気の出入りを行う小さな孔
葉身の裏面に多く分布
(スイレンなどの浮遊植物では表面にのみ分布)
蒸散に関与する環境条件
城さんの量が給水の量を上回り植物体内の水分量が少なくなると気孔を閉じる
(光合成ができず植物の生長は止まる)
一日で植物体内に含まれている水の1~0倍の水が給水されそのほとんどが蒸散によって体外に放出されている
根から葉につながる細い管に空気が入ると水は流れなくなる
茎を水の中で切る「水きり」も、組織の道管に空気を入れないため
水の吸収
大気と葉の水蒸気圧の差・・大気は水蒸気圧の高い葉から水を引っ張る
細い管の中の水分子の凝集力
緑色が濃く、光を吸収する色素を多く含む
植物の構造についての補足
9がミトコンドリア
典型的な動物細胞の模式図: (1) 核小体(仁)、(2) 細胞核、(3) リボソーム、(4) 小胞、(5) 粗面小胞体、(6) ゴルジ体、(7) 微小管、(8) 滑面小胞体、(9)
ミトコンドリア、(10) 液胞、(11) 細胞質基質、(12) リソソーム、(13) 中心体 (
図 英名)
ミトコンドリア(mitochondrion pl. mitochondria)
Wikipedia
ATP産生はミトコンドリアの主たる機能
Wikipedia 生物分類学におけるドメイン(英: domainドメイン)とは、
界よりも上の、最も高いランクの階級
この階級の新設は、これまでの分類の最も高い階層である界が本来は植物と動物を分けるために設定されたものであったことに由来する。様々な生物の発見により、この分類は改変を受けてきたが、原核生物と真核生物の差が、真核生物内部での植物と動物の差より大きいものと考えられるようになった
ミトコンドリアの構造
1.内膜 2.外膜 3.
クリステ(平板状) 4.マトリックス
※
http://www.plantatree.gr.jp/handinhand/message/esashi14.html「ミトコンドリア中のクリステこそATPを生産する水力発電所」
cristae, crista:
ミトコンドリア内膜のひだ状の構造
強光阻害 photoinhibition
光合成が強光のもとで阻害を受ける現象。
過剰な光によって光合成速度が低下する現象
モンステラ
フクシア
ペラルゴニウム
カラテア
参考リンク ページ→※日本植物生理学会その他
以下の講座は終了しています
花の文化園の園芸基礎講座のカリキュラム
花の文化園園長先生の園芸基礎講座のカリキュラム紹介
毎月第3土曜日の午前11時から45分です。
(12月と1月を除く10回)
場所はイベント広場休憩室
第1回(4月21日)植物の形態とライフサイクル
第2回(5月19日)園芸生産の特徴
第3回(6月16日)草花の生産と消費の動向
第4回(7月21日)草花の生産と環境
第5回(8月18日)園芸植物の品種改良と繁殖
第6回(9月15日)園芸生産におけるバイオテクノロジーの利用
第7回(10月20日)草花の生育と環境
第8回(11月17日)園芸農家の経営
第9回(2月16日)流通と貯蔵
第10回(3月16日)生物多様性保全と園芸利用
※以上は2012年度のものです
2013年度は、研修室にて行われています。
カリキュラムはこちらの
イベントニュースページでご確認ください
▲TOPへ戻る