花の文化/漢字植物園

花櫚・榠樝・花梨

(以下『漢字植物園』コンテンツ目次より再掲)

円満字二郎先生の著作 『漢字の植物苑』(岩波書店2020)
岩波の『図書』に連載した、「漢字の植物園in広辞苑」を元にまとめたもの。 先生のは『広辞苑』に合わせて、「植物園」でなく「植物苑」というタイトル。

サイカチ
学名: Gleditsia japonica
科名:マメ科ジャケツイバラ亜科
落葉高木。別名はカワラフジノキ。漢字では皁莢、梍と表記するが、本来「皁莢」はシナサイカチを指す。幹に特徴的な棘がある。

サイカチの細かい話

【皂莢】
「マメ科の落葉高木。高さ三〜五メートルで、「秋 長さ三〇センチメートル以上のさやを垂下する」と、『広辞苑』にはあります。

漢字での書き表し方として掲げられているのは、「皂莢」。
中国語名に由来する書き方で すが、「莢」という漢字が使われているのは、『広辞苑』のイラストでは左の方に 示されている、長い莢が特徴的だからでありましょう。


P130図

漢字的に興味深いのは、「皂」の方。この漢字をそのまま、漢和辞典で探しても、簡単 には見つけられないかもしれません。

実は、漢和辞典に正見出しとして載っているのは、「皁」という漢字。
音読みは「そ う」で、サイカチなどの木の実を指す用法があります。
ある説によれば、「白」の部分が 木の実で、「十」は木の枝を表すのだとか。
「皂」は、その下の「十」の部分が変形して 「七」になった、いわゆる「異体学」と呼ばれるもの。
漢和辞典では、正見出しとしては扱わず、「皁」の脇に小さめに示して済ませて ることがよくあるのです。(p129)

サイカチを漢字で書き表す場合、漢和辞典的に は「皁莢」がお薦めなのですが、現実には、異体 字を用いた「皂莢」がよく書かれてきました。そ こで、国語辞典では「皂莢」を示していることが 多いようです。

さらにややこしいのは、「白」の下が「七」で はなく、カタカナの「ヒ」のようになった「皀」という漢字も存在している、ということ。こちらは、音読みでは「きょう」とか「ひょ く」などと読み、炊いた穀物の香りがよいことだとか、穀物の粒だとかいった意味があり ます。

そうして、困ったことに、一昔か二昔くらい前までのパソコンでは、サイカチを書き表 すのに使われる「皁」も「皂」も、扱うことができなかったのです。
使えたのは、穀物う んぬんの「皀」だけ。そこで、電子辞書だとか、インターネットの上では、今でもサイカ チのことを、「ヒ」の「皀」を用いて「皀莢」と書き表していることがあります。

現実に使われている漢字を、辞書はどとまで受け容れ、どとから先に異論を申し立てる べきなのでしょうか。
たとえばサイカチの場合、漢和辞典でも、国語辞典のように「皂 莢」を正式な書き表し方とすべきなのでしょうか、それとも、漢字としては正続性が高い 「早莢」にとだわり続けるべきなのでしょうか。
あるいは、ネット上でよく見られるのな らば、「皀莢」だって許容してもよい、という立場も、ありえるのかもしれません。 日常的に使う漢字ならば、字の形の細かい部分にまで、厳密な検討を加える必要もあるでしょう。

でも、サイカチのようなめったに用いない漢字の場合、細かい形にどこまで筋 を通し、どこから現実を重視すればよいのか。むずかしい問題です。(p131)

以上、円満字二郎先生の著作を参照しつつ、漢字植物園コンテンツ作成、季節に合わせ秋の植物、「サイカチ」を見ました。・・ 
”歳時記よろしく、広辞苑片手につづる”という売り文句に合わせ、秋の植物 (以下各項さらに続く・・・・ )

『漢字植物園』秋

涼風の秋の14種

ハギ(萩/芽子) kanji_hagi(20230914)
キキョウ(桔梗)kanji_kikyo(20230929)
ナデシコ(撫子/瞿麦)(20231006)
コスモス(秋桜)(20231024)
ワレモコウ(吾亦紅)(20231108)
ススキ(薄/芒)(20231109)
キク (菊)(20231110)
リンドウ(竜胆)(20240909)
フジバカマ(藤袴)20241003)
キンモクセイ(金木犀)(20241014)
カリン(花櫚・榠樝・花梨)(20260904)
サイカチ※このページです(20260904)

ケンポナシ(玄圃梨)
サフラン(洎夫藍) (20260909)
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