(以下『漢字植物園』コンテンツ目次再掲)
円満字二郎先生の著作『漢字の植物苑』(岩波書店2020年2月刊)
岩波の『図書』に連載した、「漢字の植物園in広辞苑」を元にまとめたもの。
『広辞苑』に合わせて、「植物園」でなく「植物苑」というタイトルでした。
「宿存萼」
という言葉は知りませんでした。
コトバンクを見ると、
”〘名〙 花が枯れ落ちた後まで、枯死せずに残っている萼。バラ、カキ、シソなどに見られる。”っと、ホオズキは挙げられていません。
福岡市植物園公式ブログを参照すると、
実の頭に残った萼が目立つものとして、ハマナス(バラ科)とクチナシ(アカ
ネ科)の例、ロウヤガキのへた、タマゴナスのへたの例、
”果実が熟す頃に果柄側に残った萼が色づいて、鳥などに果実の存在をアピールする
役割を果たすものもあり”っと、ミッキマウスの木(オクナ・セルラタ)やクサギが写真付きで挙げられています。
最後に、残った萼が開花機後に成長して果実を包みこむタイプのものを紹介するという事で、夏の風物詩として親しまれているホオズキ(ナス科)の紹介がありました。
漢字で「酸漿」と書くのは、
「果実の味による名前である」
(李時珍の『本草綱目』:16世紀中国の植物字典)
「鬼灯」は、
中国語の辞書では「鬼火」(火の玉)のことで、植物とは関係ない。日本で独自に生み出された書き表し方だという事にる。
ただ、中国では、「酸漿」の別名として、「
灯籠草
」という呼び名もあります。
つまり。オレンジの宿存萼を「灯り」に見立てるという発想は、日中で共通。
日本語オリジナルの「鬼灯」のオリジナルなところは、そこに「鬼」のイメージを重ねたところにある。
この場合の「鬼」は、死者の魂を指すと考える方が、雰囲気に合うように思う。
ここで思い出すのは、ハロウィンの、大きなカボチャ。
正式な呼び名は「ジャック・オー・ランタン」
ケルトの伝説で、死後の世界に受け入れてもらえず、いつまでも現生をさまよう死者の魂なのだとか。
大きさこそだいぶ違いますが、鮮やかなオレンジ色をした植物性の塊に死者の魂を見出す感性は、「ケルトと日本とで共通しているようです。
(以上は円満字先生 p76ー77 から抜き書き)
https://www.i879.com/hanablog/.
ホオズキの花が咲く時期は、5月~7月。
宿存萼がきれいに色づくのは、8月~9月
。
葉脈だけにするには水につけておくだけ。日陰で乾燥させる。
白くしたいときは漂白剤を入れて1週間置く。
以上、円満字二郎先生の著作を参照しつつ、漢字植物園コンテンツ作成、という事であるが、季節に合わせ、夏の植物、ホオズキ・・
”歳時記よろしく、広辞苑片手につづる”という売り文句に合わせ (以下各項さらに続く・・・・ )