(以下『漢字植物園』コンテンツ目次再掲)
円満字二郎先生の著作『漢字の植物苑』(岩波書店2020)
岩波の『図書』に連載した、「漢字の植物園in広辞苑」を元にまとめたもの。
『広辞苑』に合わせて、「植物園」でなく「植物苑」というタイトル。
旺盛な生命力を示す夏の「雑草」
四方に伸びた葉っぱの付け根が赤みを帯びるのが特徴
(以上は円満字先生 p81ー83 から抜き書き)
「藜」に含まれる「黎」の字は「暗い」「黒い」という意味。 「あかざのあつもの」:藜の若菜を具とした吸い物。粗末な食物のたとえ。
「あかざのつえ」:「軽く、中風にならないというので。老人が用いた。
中国の古典では、「藜」が、粗末な暮らしや貧乏な生活を象徴するアイテムとしてときどき登場する。
8世紀の杜甫「白帝城の最高峰」
藜を杖つき世を
歎
く者は
誰
ぞ
泣血
空に
迸
りて
白頭
を
廻
らす
亡くなる5年ほど前の作。アカザの杖を手に世の荒廃を歎いている老人=自分の姿を、他人の様に客観的に見いている。
(以上は円満字先生 p81ー84 から抜き書き)
イタドリの杖に次いでアカザの杖も紹介でした・・
イタドリの頁でも挙げた、『杖』(矢野憲一)
p215に、次の芭蕉の句が挙げられている。
やどりせむ藜の杖になる日まで
貝原益軒『萬宝鄙事記』で、
「杖に作りて軽き物は、帚木、藜、虎杖、前胡、白芷、草麻、淡竹、
文菊、麻なり」とする。
『史記』では、貧しい原憲が、
藜杖
を突き、『三国志演義』では南華老仙という老人もこれを使い、別名を仙人杖と言っている。
わが国ではアカザの杖をつけば疫病除け、中でも中風(中気)にならぬといわれてきて今でも人気がある。
出典:『杖』(「人間の文化史88」矢野憲一 法政大学出版局1997)
補足:
前胡(ぜんこ):セリ科ノダケ他
白芷(びゃくし)セリ科ヨロイグサ
上記文献にはなかったが水戸のネット情報を見ると、水戸黄門様も愛用したそう。
アっ!カっ!ザっ!のっ!杖っ!
— 水戸市植物公園 (@mito_botanical) September 3, 2023
(声に出して読みたい日本語:某塩の勢いでどうぞ)#水戸市植物公園 のバックヤードでアカザがどんどん生長しております。これをこうしてそうして何すると、杖になります。 pic.twitter.com/TdzcozmYRN
以上、円満字二郎先生の著作を参照しつつ、漢字植物園コンテンツ作成、季節に合わせ、夏の植物、アカザ・・
”歳時記よろしく、広辞苑片手につづる”という売り文句に合わせ (以下各項さらに続く・・・・ )