(以下『漢字植物園』コンテンツ目次より再掲)
円満字二郎先生の著作『漢字の植物苑』(岩波書店2020)
岩波の『図書』に連載した、「漢字の植物園in広辞苑」を元にまとめたもの。
先生のは『広辞苑』に合わせて、「植物園」でなく「植物苑」というタイトル。
アンズ
学名: Prunus armeniaca
科名;バラ科
落葉小高木
英名:Apricot(アプリコット)
※wikipedia 別名、カラモモ(唐桃)。中国北部で形成された東洋系の品種群には、ウメとの交雑の痕跡がある。原産地は諸説あるものの、中国の山東省、河北省の山岳地帯から中国東北地方の南部とする説が有力
中国の原産であるが、日本へは渡来種とされ
、弥生時代以降の遺跡から出土している
長野県ではアンズの栽培が盛んだが、そのきっかけは300年以上も昔に遡る。伊予宇和島藩のお姫様がこの地に輿入れする際、故郷の花を忘れないためアンズを持ち込み、場内に植えたのが始まりとされている
『広辞苑』には、「杏」と「杏子」の二つが載っている。この場合の「子」は果実のこと。
ややこしいが「あんず」とよむのは本来「杏子」の方。「子」には「ず」という音読みがある。
「杏」の本来の読み方は「あん」⇒唐音=鎌倉時代以降に日本にもたらされた中国語の発音が変化した音読み。
奈良時代から平安時代初めに伝わった中国語からの音読みでは「きょう」
人気の中華デザート「杏仁豆腐」(あんにんどうふ)
・・『広辞苑』クラスの大きな国語辞典では、「あんにんどうふ」を引くと「きょうにんどうふ」を参照せよと出る。
現実には、「あんにんどうふ」の方がはるかに一般的。
おそらく漢方薬としての「杏仁」は「きょうにん」と読むのが正統なのでしょう・
(以上は円満字先生 p20-21から抜き書き)
長野県の「あんずの里」