花の文化/漢字植物園

凌霄花

(以下『漢字植物園』コンテンツ目次より再掲)

円満字二郎先生の著作『漢字の植物苑』(岩波書店2020)
岩波の『図書』に連載した、「漢字の植物園in広辞苑」を元にまとめたもの。 『広辞苑』に合わせて、「植物園」でなく「植物苑」というタイトル。

Campsis grandiflora 09 7 3
ノウゼンカズラ
学名:Campsis grandiflora
科名:ノウゼンカズラ科
英名:Chinese trumpet vine
日本の琉球諸島が原産地
落葉性のつる性木
wikipedia

高みを目指すノウゼンカズラ

いかにも夏らしく、大きくゴージャスな花を咲かせる植物

この花の名前、漢字では「凌霄花」と書きます。そのまま音読みすると「りょうしょうか」
その点について、『広辞苑』には、「のうぜん」は古名ノうセウ(陵苕)の転、とある。
「陵」の「りょう」と「のう」は、ちょっと関係がないように思われます。
ただ、「 檸檬 レモン をそのまま音読みすると「ねいもう」になるように、漢字の音読みの世界ではラ行音とナ行音にしばしば、近しい関係が見られます。

「凌霄花」の「凌」は訓読みすると「しのぐ」。「何かの上に出る」ことを示す漢字です。 一方、「霄」は空のこと。
「凌霄花」とは大空の上まで伸びていく花、といったイメージです。

古名「陵苕」の方、「陵」は高く盛り上がった「おか」を示す漢字。ここでは「凌」と同じで、「何かの上に上がる」といういみ。
「苕」のほうは、実はこれがノウゼンカズラそをのものを示す漢字。紀元前6世紀には出来上がっていたと考えられている。
(『詩経』に「 苕之華 ちょうしか 」というノウゼンカズラの花に生きる苦しみを託した悲しい詩が収められている)
https://kakuyomu.jp/works/

つまり「陵苕」とは、「高くつるを伸ばすノウゼンカズラ」という、ノウゼンカズラの特性を強調した呼び名。それが同音の「凌霄」へと書き換えられて、天の上まで伸びていくとい大げさなイメージを持つことになったのでしょう。

(以上は円満字先生 p68ー70 から抜き書き)

2013年9月8日 Photo byM


レストランの壁に絡まる赤い花は、
アメリカノウゼンカズラ(Campsis radicans)かと思います??
普通のノウゼンカズラはオレンジっぽくもっと花が大きい・・

今まで作成のつる植物のページ⇒ turukusa

以上、円満字二郎先生の著作を参照しつつ、漢字植物園コンテンツ作成、季節に合わせ、夏の植物、「ノウゼンカズラ」を見ました。

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