
(以下『漢字植物園』コンテンツ目次より再掲)
円満字二郎先生の著作
『漢字の植物苑』(岩波書店2020)
岩波の『図書』に連載した、「漢字の植物園in広辞苑」を元にまとめたもの。
先生のは『広辞苑』に合わせて、「植物園」でなく「植物苑」というタイトル。
「秋の後半は、紅葉の季節。
紅葉が美しい場所は世界中にいくらでもあるでしょうが、
「紅葉狩り」などと称して、それを見に行くことを年中行事の一つにしてしまっているの
は、日本人ぐらいではないでしょうか。
さて、美しく紅葉する植物といえば、なんといってもカエデ。
漢字では、もちろん
「楓」と書きます。
「楓」は、中国の漢詩にもよく出てきます。
若いころ、出版社で国語教科書の編集をし
ていたときのこと。古い教科書を調べていて、ある漢詩に使われている「楓」にわざわざ
注を付けて、「からかえで」と書いてあるのを見つけたことがありました。
中国のカエデのことだろう、と見当はつくものの、一応、どんな植物か調べてみて、焦
りました。
そんな名前の植物は、『広辞苑』をはじめとする国語辞典はおろか、植物事典
の類にも出てこなかったのです。
調べ回った結果、わかったのは、中国語での「楓」は、
カエデではないと言うけれど⋯⋯
カエデとは別の植物を指すということでした。
その名は、フウ。
何のことはない、「楓」の音読みです。
『広辞苑』によれば、カエデは、「ムクロジ科のうち、以前カエデ科に含まれた落葉高木
の総称」。
一方、フウは、「フウ科(旧マンサク科)の落葉高木」。「秋、紅葉する」ともあり
ます。ていねいなことに、その説明文の最初には、「カエデとは別種」と断り書きがして
あります。
『広辞苑』の「ふう」の項目はイラスト入りで、それで見ると、フウの葉は、たしかに
カエデの葉と似た形をしています。
しかし、イラ
ストの中央に伸びている実は、チアガールが振り
回すポンポンのようなボール型。
竹とんぼを小さ
くしたようなカエデの実とは異なります。ま
く別の植物だということが、よくわかります。
とはいえ、似た形の葉っぱが同じように美
赤に染まるのですから、日本人が「楓」をカエデ
だと勘違いしたとしても、驚くにはあたりません。
実際、漢詩に出て来るフウも、紅葉が美しい秋の 紅葉,そして冬風物詩としてうたわれています。カエデに置き換えて鑑賞しても、まったくの的外れには ならないでしょう。
ところで、では中国語ではどんな漢字でカエデを表すかというと、それは、「槭」だと されています。しかし、この漢字の樹木は漢詩文ではほとんどうたわれませんし、実際、 中国でも、「楓」と「槭」は混乱して使われているようです。
『広辞苑』の「かえで」の項目では、漢字での書き表し方として、「楓」とともに「槭
樹」も挙げています。
」とはいえ、少なくとも現代の日本語では、とんなむずかしい漢字で
カエデを書き表さなくてはならない必然性は、さほどないと思われます。
なお、教科書で「からかえで」と注が付けてあったということは、かつては、フウのと
とを「からかえで」と呼ぶことがあったのかもしれません。
漢字で書けば「唐楓」でしょ
うが、こう書いて「とうかえで」と読む別の植物があるから、困ったもの。
『広辞苑』に
よれば、トウカエデは「ムクロジ科」で、やはり「紅葉が美しい一樹木だということです。(p140)
(以上は円満字先生 p138ー140から抜き書き)
「紅葉、そして冬」の一番初めの植物、カエデ・・
「秋来ぬと目にはさやかに見えねども
風の音にぞおどろかれぬる」(藤原敏行)
こn有名な後世の美学にまで影響を与えた、
『古今集』秋歌巻頭の立秋の歌にあるように、風という気配、秋は風・・
その秋の木の名にふさわしい字だと、誰もが思うだろうと思いつつ・・
モミジとカエデの違いは?
重要な疑問点ですが、Wikipediaによれば、
(カエデは)
モミジ(紅葉、椛)とも呼ばれるが、葉の切れ込みが深いものを「モミジ」、葉の切れ込みが浅いものを「カエデ」と呼んでいる(植物学的には同じ系統)。
赤・黄・緑など様々な色合いを持つ為、童謡では色を錦と表現している。
また、英語圏では一般にMaple(メイプル、メープル)と称する
カエデ属の学名ラテン語 acer とドイツ語名 Ahorn は、英語の edge と同じく「尖った、鋭い」を意味する印欧語の共通の語根に由来し、葉が尖っていることからの命名であると考えられる
AI による概要
楓(カエデ)と紅葉(モミジ)は、植物分類上はどちらも同じムクロジ科カエデ属の同じ仲間であり、科学的な違いはありません。 (shinrin-ringyou.com)
日本では、慣習的に見た目や言葉の由来で区別して使われています。 [1] (thegate12.com), [2] (kurahiro.tepco.co.jp)
見た目の違い(一般的な目安)紅葉(モミジ): 葉の切れ込みが深く、細かく裂けているもの(例:イロハモミジ)。楓(カエデ): 葉の切れ込みが浅く、丸みを帯びているもの(例:ハウチワカエデ、トウカエデ)。
言葉の由来の違いもみじ: 秋に葉が赤や黄色に色づく現象(紅葉・黄葉)そのものを指す古い日本の言葉。かえで: 葉の形が「カエルの手(蛙手)」に似ていることから「かえるで」と呼ばれ、それが変化した言葉。
英語圏ではどちらも「maple」と呼び、モミジとカエデを分けて呼ぶのは日本特有の文化です。 (もみじかえで研究所)
モミジを漢字で書くと「紅葉」。これでさらに、広がりのあるものに、というか、混乱に。
表記が意味に干渉すると。毎日ことばによれば、「新緑の紅葉」は、色が問題になっているときに問題のある表記だと。なるほど。
以上、円満字二郎先生の著作を参照しつつ、漢字植物園コンテンツ作成、季節に合わせ、「カエデ」を見ました。・・
”歳時記よろしく、広辞苑片手につづる”という売り文句に合わせ、秋の植物 (以下各項さらに続く・・・・ )
