ハーブガーデンのためのハーブ図鑑



「ハーブ」という言葉


ハーブ herb

(平凡社世界大百科事典)
一般に草を意味するが,とくにセージ, マヨラナなどの薬草,香草をさすことが多い 。
欧米ではハーブ・ティーや薬用酒として飲んだり,
生葉のまま部屋につるしたりするほか,
料理の風味づけにも使われる。

薬用植物 medicinal plant

薬用に供しうる植物の総称。草本のときには薬草という。広義には古代から経験的に病気の治療および予防に用いられてきたもののほかに,医薬品の原料となるもの,香辛料,嗜好品,薫香料,香粧品や,未開社会において食糧を得るための矢毒や魚毒なども含まれる。したがって薬用植物とは人間および動物に対して,特殊な生理作用を有する植物ということもできる。少量で人間や動物を死なせたり,あるいは損傷するものを特に有毒植物というが,それは使い方によっては薬物となる可能性のあるものである。しかし薬用植物とそうでない一般の植物の境界は明らかでない。同じ植物がある地域では薬用に利用されるのに,別の地域では無用の場合がある。例えば中国でミゾカクシ (中国名,半辺蓮,キキョウ科) は腫瘍や毒蛇の咬傷に,エノキグサ (中国名,血見愁,トウダイグサ科) は止血剤として,内服されたり外用される。両植物はいずれも日本に自生しているが,日本ではまったく使われていない。

[植物群と成分]
新田 あや (平凡社世界大百科事典)
  植物の化学成分がわかってくるとともに,よく似た成分化合物が近縁な植物にみられることもわかってきた。たとえばケシ科の植物はすべて アルカロイドが,リンドウ科の大部分は苦味配糖体が,バラにはニトリル配糖体が含まれる。キク科 (キク亜科),シソ科,ミカン科,セリ科,クスノキ科,フトモモ科などの植物には精油が,アオイ科植物には粘液が,アブラナ科,モクセイソウ科,ワサビノキ科植物には含硫配糖体が含まれる。キンポウゲ目 (キンポウゲ科,ツヅラフジ科,メギ科,スイレン科) と,これに近いモクレン目 (モクレン科やクスノキ科) の植物にはビスコクラウリン型アルカロイドがみられる。リンドウ科の中でリンドウ属Gentiana,センブリ属Ophelia,センタリウム属Centauriumはゲンチオピクロサイド gentiopicroside と同類の苦味配糖体を含有するが,ミツガシワ属Menyanthesはこれらと化学構造の異なる苦味配糖体メニアンシンmenyanthin を含有し,リンドウ科に近いフジウツギ科のマチン属Strychnosの苦味配糖体ロガニンloganin はメニアンシンとまったく同一化合物である。したがって,化学成分は類縁関係を明らかにする資料としても有効である。


2004/06/30 花の文化園ハーブ園にて撮影 サフラン


2004/06/30 花の文化園ハーブ園にて撮影 サフラン