花の文化/漢字植物園
柳・楊・楊柳

(以下
『漢字植物園』コンテンツ目次より再掲)
円満字二郎先生の著作『漢字の植物苑』(岩波書店2020)
岩波の『図書』に連載した、「漢字の植物園in広辞苑」を元にまとめたもの。
先生のは『広辞苑』に合わせて、「植物園」でなく「植物苑」というタイトル。
ヤナギ
学名: Salix L.
科名:ヤナギ科
英名: Willow
落葉樹
※
wikipedia
ヤナギを表す二つの漢字
【柳・楊・楊柳】
やなぎ:日本には約90種。シダレヤナギ 、コリヤナギ、カワヤナギなどが代表的
漢和辞典では、二つの漢字はきちんと区別されている。
柳=ヤナギの総称、特にシダレヤナギ
楊=枝が垂れないタイプのヤナギ
ひとまとめにして、楊柳(ようりゅう)
「楊」は日本ではあまり使われない。
コリヤナギも「行李柳」で日本独自の用法
川柳(かわやなぎ)は川柳(せんりゅ)う)と区別しにくくなるので、「川楊』とも書くという注意書きが添えられている。
(以上は円満字先生 p34-35から書き抜き引用)
柳の歌
柳で思い出すのは、石川啄木(26歳没)
故郷の渋民に没後後10年となる1922年(大正11年)歌碑が建立されている
「やわらかに柳あをめる 北上の
岸辺目に見ゆ 泣けとごとくに」
https://www.mfca.jp/takuboku/
民俗,象徴
コトバンク
日本
柳は生命力に満ち,春一番に芽ぶくため,正月には餅花をつけたり,これで柳箸(やなぎばし),削掛け,粟穂稗穂(あわぼひえぼ)などを作って豊作や健康を祈る風がある
柳には幽霊や妖怪が出没するという伝説が伴っていることが多い。とくに,枝垂(しだれ)柳は他の木とちがって枝が下に垂れており,神霊の降臨する神の木とされた。
中國
春に一斉に青い芽をふくので生命力の象徴とみなされ,転じて邪気をはらう呪力をもつ植物とされた。
〈折楊柳〉の習俗で,親戚知友が遠方に旅立つときには,城外まで見送り,水辺の柳の枝を折り取り環(わ)の形に結んで贈った。〈環〉は〈還〉で,旅人の無事帰還を祈る意味とされているが,実際には日本の魂(たま)むすびの古俗と同じく,旅人が旅に疲れて魂を失散させないよう,しっかりとつなぎとめる意味であった。
柳は水に縁があるので雨乞いにも用いられた。
ヨーロッパ
ホメロスの《オデュッセイア》によると,オデュッセウスは冥界の入口アケロン川のほとりで柳の木を見たとされる。
また旧約聖書の《詩篇》でも,〈バビロンの流れのほとりの柳に琴をかけ,われらは涙を流した〉とある。
このように柳はヘレニズム文化においてもヘブライズム文化においても,死と嘆きを連想させる。実際,英語におけるwear the willow(柳の枝葉でつくった冠をかぶる)という表現は〈愛人の死を嘆く〉という意味に使用される。
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