(以下『漢字植物園』コンテンツ目次より再掲)
円満字二郎先生の著作『漢字の植物苑』(岩波書店2020)
岩波の『図書』に連載した、「漢字の植物園in広辞苑」を元にまとめたもの。
先生のは『広辞苑』に合わせて、「植物園」でなく「植物苑」というタイトル。
フジ
学名: Wisteria floribunda
科名:マメ科
英名:Japanese wisteria
つる性落葉木本
日本の固有種
【藤】
ゴールディンウィークの亀戸天神の「藤まつり」
広辞苑の記載では「五~六月ごろ」とあるが、地球温暖化で開花4月半ばに
藤という漢字、名字に多いので音読みの「トウ」で知られる。
固有名詞を離れた日常語では、「葛藤」くらいでしか使われない。
相反する感情がもつれ合う状態をさす・・
クズとフジのツルが絡み合うところから生まれた表現、と説明される。
しかし、中国の辞書で調べると、「葛的藤」とある。
「藤」という漢字には「つる」という意味もある。
日本人は「葛藤」というと「クズとフジ」だと解釈してしまう。植物学的にも日本のフジは中国のフジとは違うが、文化史的違いがある。
日本人のフジへの愛は、中国人のフジへの関心よりはるかに深い。
(以上は円満字先生 p38-39から書き抜き引用)