ゼンパー・アウグストゥス (wikipedia)
Semper Augustus, the most famous bulb, which sold for a record price.
Great Tulip Book: Semper Augustus, 17th century
17世紀のチューリップバブル:
世界最高の値段で売られた有名なチューリップの球根
チューリップ
学名:Tulipa
属名トゥリパは、トルコ語あるいはペルシア語のターバンを表す言葉に由来。
花の形が頭巾に似ていることから。
(英名):tulip
属名の英語化したもの。
和名:ちゅーりっぷ(鬱金香)
鬱金香本来は ウコンあるいはサフランをさす言葉、
中国語名との混乱が起こったものか。
ぼたんゆり
ボタンのような花をつけるユリに似た花の意か。
中国名:郁金香 由来不詳
郁は美しいの意。
原産地 不詳(中央アジアか)
荒俣宏「花の王国」第1巻(平凡社1990刊) |
チューリップの属名
種小名に使われている人名
クルシウス (1526-1609)
ゲスナー (1516-65)
レンブラント(1606~1669)
カロルス クルーシウスは、 16 世紀末におけるチューリップの球根の普及に大きく貢献しました。彼は 1573 年にウィーン帝国植物園にチューリップを植えました。彼は 1592 年にチューリップに関する最初の主要な研究を完成させ、色の変化に注目しました。彼は、ライデン大学に新設された植物園の館長に任命された後、1593 年末に教育用庭園と個人の庭園の両方にチューリップを植えました。したがって、オランダで最初にチューリップが開花したのは 1594 年と考えられています。(https://en.wikipedia.org/wiki/Tulip)
荒俣宏「花の王国」第1巻に載る 6種
Tulipa SD
清楚な原種のひとつ。
最も小さい原種のひとつ。
Tulipa gesneriana
ガーデンチューリップ
ふるくはモンスターと呼ばれている、'フレイミング・パロット'に近い種
’ダーウィン’系に属する花なら、白色が入るものはウイルス病※の疑いがある。
トルコから来た園芸種
’ケイス・ネリネ’に似る
Tulipa oculusolis
東南アジア原産といわれ、きわめて美しいチューリップの一種
荒俣宏「花の王国」より
1543年にトルコ駐在オーストリア大使が、
ウィーンに持ち帰ったのが
記録上の最も古いチューリップである。
1561年に博物学者C・ゲスナーは、
球根をドイツのアウグスブルクへ移植し、
著書に初記載した。
このため原種にはゲスナリアという種小名が残っている。
その後オランダに移植されると、またたくまに流行し、
変種作りが盛んになった。
ウイルス病にかかったものが珍奇種として賞賛されたり、※
一個の球根がビール工場と交換されたりした。
特に1630年代の熱狂が「チューリップ狂時代」として名高く、
デュマが「黒いチューリップ」でそのありさまを描いている。
流行はトルコに逆輸入され、
18世紀前半のトルコ文化の爛熟期がチューリップ時代と
呼ばれるほどに象徴化された。
花言葉は色によって異なり、
赤は 愛の告白、
雑色は 美しい目。
※[mosaic virus:モザイク病ウイルス]とは
Wikipedia
レンブラント系 (Rembrandt)
ダーウィン系に羽状の斑が入ったもの。
レンブラントを代表する画家たちが描いた、
ブロークンチューリップにちなむ。
似たものにビザール、バイブルームがある。
※病気ではないもの
レンブラントチューリップ
画家レンブラントRembrandt van Rijn(1606~1669)
は、
赤白ツートンカラーのミックスをしばしば
モチーフにしました。これは「レンブラントチューリップ」と呼ばれる。
http://tulip.agri.pref.toyama.jp/tulip/kiso_03.html
花色が白または黄色地に、赤色、紫色などのモザイク状の絞りが入り、
一見ウイルス病にかかっているように見える。
品種数としては極めて少ない。
ソーベット |品種群| 一重遅咲きRenbrandt Group (略称:R)
白色に赤の縦じま模様。
ウィルスに罹って花弁にさまざまな絞り斑が入ってしまった品種群で
赤、ピンクの色に現れる。
昔、静物画に描かれたもので一部が保存され、市販はされていない。
市販されているのは遺伝的な斑入り品種のみ。
チューリップ・バブル(Tulip mania または Tulipomania、チューリップ狂時代)
チューリップ・バブル - Wikipedia
膨大な品種が系統だてられてチューリップが認識されるようになるのは、
植物学者カロル ス・クルシウスの研究による。
... クルシウスが発見した特性のなかに、
のちに
ブレー キングとよばれる突然変異がある。
コンラート・ゲスナー (1516-65)
「近代のプリーニウス」('a modern Pliny')とも称しうるスイス人の博物学者
「書誌学の父」
『博物誌』(Historia Animalium)
博物学的な収集と分類の精神に基づいた
、
グーテンベルク以後最初の体系的な解説つきの書誌
R・J・ソーントン画
Robert John Thornton (1768-1837)
イギリスの植物学者
リンネCarl von Linne(1707-1778)
植物分類学解説図集
『フローラの神殿』:‘TEMPLE of FLORA’
植物図譜の至宝
植物の分類法に画期的なシステムを導入したのは、
スウェーデンの博物学者リンネであった。
植物の生殖器官―花に着目し、その形態を基準に、
雄しべと雌しべの形と数で分類してゆくその方法は
「セクシャル・システム」と呼ばれ、
18世紀の後半にはヨーロッパ中に広く知れわたった。
イギリスでその思想に共鳴したソーントンは、リンネ分類学を図解した
大著の出版を計画し、そこで生まれたのが史上最美といわれる植物図鑑
不思議な魅力に満ちたソーントンの植物図譜を堪能した後、ソーントン以前の16-17世紀のオランダ花卉画のチューリップも見てみました。
野生種のチューリップは、中国西部から南ヨーロッパを結ぶ
北緯40度一帯に自生する比較的地味な花。
トルコ人が園芸種に育て上げた。
神聖ローマ帝国皇帝フェルディナント一世の駐トルコ大使ビュスベックが
ウィーンに持ち帰り紹介。
ウィーンからネーデルランドにチューリップを将来したのは、
ビュスベックの友人でウィーン宮廷付属植物園園長を勤めていた
クルシウスだという。
珍しい異国の植物のコレクション(芸術品の蒐集と並ぶ)
…
ステイタス・シンボルとしてのチューリップ
園芸家は競って新しい園芸種作りに励んだ。
花が美しいばかりでなく交配が容易で結果が予測不可能であるため、
博打的な面白さがあった。
チューリップは代を重ねるうちに、斑模様や縞模様の異様に美しい花を咲かせる。
ウィルスによる不健康な滅びの美しさだった
1634-37頃
チューリッポマニア(チューリップ狂騒事件)
※史上最高値 ゼンベル・アウグストス
Semper Augustus
一個の球根の値段…13000ギルダー
(レンブラントの「受難」の連作の代金は1点600ギルダーだった頃)
チューリップ、ナシ、貝、毛虫(1596)
G.ボクスカイ著「ミラ・カリグラフィアエ・モニュメンタ」挿画
ヘオルフ・フフナーヘル
Georg Hoefnagel、1542-1600
ポール・ゲッテイ美術館蔵
中世の伝統と近世の要請との橋渡しをした花卉画
龕(がん)におかれた花瓶の花(1603)
ルーラント・サーフェリー
Roelant Savery、1576/8-1639
ユトレヒト中央美術館
現存のオランダ花卉画の中で最も早い年記を有する作品のひとつ
ガラス花瓶の花(1612)
ジャック・デ・ヘイン(子)
Jacques de Gheyn the Younger,1565-1629
ハーグ市立美術館
Gemeentemuseum Den Haag
万暦乳瓶に生けた花束(1612)
ヤン・ブリューゲル(父)
Jan Brughel the Elder,1568-1625
オランダハーグ マウリッツハイス美術館
Mauritshuis蔵
花瓶の花
オシアス・ベールト(と工房)
Osias Beert、1580頃-1623頃
花瓶の花と静物(1638頃)
ゲオルグ・フレーゲル
Georg Flegel、1563-1638
ステュットガルト
Stuttgart 国立美術館
ヴァニタス(1637)
ヤーコブ・マレル
Jacob Marrell,1613/4-81
ドイツカールスルーへ 国立美術館
四大とホモ・ブラ
ヤン・ファン・ケッセル
Jan vav Kessel,1626-79
ルーブル美術館蔵
ホモ・ブラ=(人間は泡沫ナリ)
チューリップの花束(1639)
ハンス・ボロンヒール Hans Bollongier,1600-70(?)
※
アムステルダム国立美術館蔵
チューリップ畑(1638)
ヤーコブ・へリッツゾーン・カイブ
チューリップ図集(1643)
ユーディット・レイステル
ハールレム
フランス・ハルス美術館
現代の写真つきカタログに代わるもの
チューリップ取引の寓意(1640頃)
ヤン・ブリューゲル(子)
Jan Brughel the Younger,1601-78
オランダ ハールレム
フランス・ハルス美術館
Haarlem, Frans Hals Museum
This still life by Hans Bollongier (1644), in the Frans Hals Museum
Hans Bollongier 1634
Tulips, a rose, bluebells and other flowers in a glass vase
on a wooden ledge, with a snail and a caterpillar
Size 46.4 x 31.9 cm.
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First updated 2002/04/, Last modefied 2023/08/27
edited byM
その後、こちらで、⇒チューリップの意匠の文物などもより詳しく見ました。