伝説の花木
西洋ハナズオウ
3月の花木
学名:Edgeworthia chrysanthaNarcissus
マメ科ジャケツイバラ亜科
セイヨウハナズオウ (Cercis siliquastrum) は落葉高木で高さ10mほどになり、
イスカリオテのユダがこの木で首を吊ったという伝説から
ユダの木とも呼ばれる。
◆Wikipedia:セイヨウハナズオウ より
「ユダの木」(英語: Judas tree, ドイツ語: gewohnlicher Judasbaum)と俗称されるように、伝統的に、イスカリオテのユダが首吊りに使った樹木であると看做されてきた。このような通念は、フランス語の通称「ユダヤの木(フランス語: arbre de Judee)」からおそらく誤って派生したものであろう(「ユダヤの木」とは、この植物が地中海方面に自生していることに関連した表現である)。
◆
ハナズオウ(花蘇芳、Cercis chinensis)Wikipedia:ハナズオウ には、「(ジャケツイバラ科)は中国原産の落葉低木」とあり
ところで、「
聖書の植物 」《モルデンケ (著), 奥本 裕昭(訳) 八坂書房1991刊》では、
この木をここでとりあげる実際的な根拠はない、としている。
理由は、マタイの福音書27章5節には、
「それで、彼は銀貨を神殿に投げ込んで立ち去った。そして外に出て、首をつった。」
・・
としかないからで、木でとも、なんの木であるとも書いていないが、パレスチナにある全樹木の中から、伝説がこの木を選んだ理由は、花の色と、花の形(ハート型)からであろう、という。
[
この木がユダの木として知られるようになって200年余りたっている。]
・・・
他の言い伝えでは、ユダが自らの命を絶つのに使った木は、イチジクFicus corica、
ポプラ、テレビンノキ(Turpentine tree)、クロニワトコ
(
Sambucus_nigra)などとなっている。
山と渓谷社の「
伝説の花たち―物語とその背景 (POINT図鑑)(石井 由紀 著 2000)
」 では137の花と木が挙げられているが、その一つとして、挙げられていた。
「ハナズオウは裏切り者の死に場所に選ばれた屈辱で青ざめ、紅紫色になってしまった」
ちなみに私は、ユダはキリストに、「お前のすべきことをすみやかに
にしなさい」と言われて、「すべきことを」やったのであって、裏切り者ということでもなく、キリストは十字架(=中心のシンボル by
エリアーデ)で、死ななければならない。その「一粒の麦もし地に落ちて死なずば、ただ一つにてあらん、死なば多くの実を結ぶべし」という、キリストの覚悟にそって行動した、最もキリストの近くにいた者のように思えるのであった。ユダの宿命。・・閑話休題。
加藤憲市「英米文学植物誌」にも項目名が見当たらない。
しかし、「セイヨウニワトコ(Elder)の項に、中世伝説では、 ニワトコが
キリストを裏切ったJudas Iscariotがしばり首になった木とされた。とあり。
シェイクスピア『恋の骨折り損』(Love's Labour's Lost)
「ユダはニワトコで首をつった.(Judas was habged on an elder.--V,ii,610.)」
とあるそうだ。
シェイクスピアはハナズオウだと思っていなかったということだ。
加藤憲市さんはカッコ書きで、(Judasがしばりくびになったという木は、figとも、Judas-treeセイヨウハナズオウだともいう。)という。
「この木はまた、キリストの十字架を作った木だともいい、古くからこれを神聖視して、今でも庭師は、生け垣にはびこるこの木を切るのを凶として嫌う。」
なお、「
聖書の植物 」では、ニワトコはパレスチナ原産ではないという。
また、ユダは縛り首でなく、自殺。
泰剛平さんの「
美術で読み解く聖母マリアとキリスト教伝説 (ちくま学芸文庫)>なども見たいところです・・